1930s Levis [The TWO HORSE Brand] 1st Denim Banner
たて71cm よこ171cm 約27インチ巾
実績への挑戦
恵比寿店にディスプレイしていたリーバイスの古いバナーを大阪へ送ったのは、昨年の秋の事です。本社に飾るのだろうと思いその時は気にも留めていなかったのですが、あの時のあのアンティークバナーが、この新しいデニムをつくる第一歩となるとまだ知る由もありません。
「裁断されていないデニムが必要だった。」という話を聞いてようやく、
バナーがこのために使われた事を知りました。
入社時、徹底してヴィンテージを再現するために、デッドストックのXXを解体して、デニムを再現したという話を聞いた時にも驚きましたが、その続きがあるとは・・・ デニムの原反をそのまま使っているバナーは、言ってみれば裁断され縫製されたXXのデッドストックよりも、より織られたままに近い状態で残っているという事。その状態から、綿の特徴、長繊維と短繊維の含有率、糸の撚り回転数を調べることで、より正確な計測に繋がるというのです。
さらに、裁断されていない状態の長い糸からは、これまで調べられなかった
事も明らかになりました。それはムラ糸のデータ。当時のムラ糸は、太さの均一な糸を目指して精紡されたものの、どうしても均一にならずに生まれるものでした。これとは逆に、現在のムラ糸は、あえて太さの不均一な糸を制御するために、不均一さの波動が「均一」だそうなのです。これにはどうしても納得が出来ないために、旧い精紡に徹底的に拘り、副産物として生まれた自然なムラ糸を再現しようと試みています。こうして生まれるデニム生地は、どのような表情を見せてくれるのでしょう。
もうひとつ、驚いたのは、リベットの話です。
ご承知の通り、表リベットも隠しリベットも、ヴィンテージにはその形状、素材、打刻の文字まで様々なものが存在するのですが、素材は銅リベットを選択し、無垢(コーティングをしない状態)のまま供給することを求めました。これにより、擦れや水分を含む事で酸化の速度が速まるといいます。文字は、極限に近いまでに細く、鋭角に切り込むような打刻を指示、表リベットは両面に打刻をすることで、ランダムに打つことを可能にしました。隠しリベットの中央には実在した数字表記を「25」としました。
こうして新しい(古い)プロセスで織られたデニムが、この世にジーンズとして生を受けるときには、さらに多くの「メイキングストーリー」を
お話できることと思います。